昔話ー章1ー第9

章1-第 9

 

聴:

 

 

桜島大根汁

 

桜島大根汁

むかしむかし、二人の仲の良い兄弟が、それぞれに家を持って住んでいました。
 弟は真面目な働き者で、その日も朝早くに起きて、おいしい桜島大根を煮ていました。
 するとその匂いに釣られて怠け者の兄がやって来たので、弟は煮えたばかりの桜島大根を兄に食べさせてやったのです。
 すると兄は、
「ほう。ふとか大根だな。・・・もぐもぐ。うまか! こら、うまか大根じゃ。どうやって作った?」
と、尋ねるので、弟は笑いながら答えました。
「簡単じゃ。このなべは大根を入れておくだけで、こげにうまく煮えるんじゃよ」
「ほうー、それは簡単じゃ」 
 兄はなべを弟から借りて帰ると、さっそく桜島大根を放り込みました。
「火をたかんでも、ええちゅうことじゃし、一寝入りするか」
 さて、しばらくして起きた兄は、桜島大根の様子を見てびっくり。
「何じゃ。全然煮えとらんとぞ、プカプカ浮いとるだけだ」
 兄は頭をかしげながら、弟の家に桜島大根の煮方を教えてもらいに行きました。
「兄さん、いくらよかなべでも、大根を切って入れるだけじゃ、煮えんよ」
 弟はそう言って、桜島大根の煮方を丁寧に教えてやりました。
「まずは朝早うに起きて、なべにたっぷりの水と大根を入れて、木の枝をくべるんだ。そいで、川の土手に行って牛のエサになる草をカゴいっぱいに切って帰ってくる。すると、うまか大根が煮えとるだ」
 さあ、それを聞いた兄はうまい桜島大根を食べたい一心で、翌朝早くに起きてなべにたっぷりの水と桜島大根を入れると、木の枝に火をつけてぐつぐつと煮始めました。
 そして眠い目をこすりながら、牛のエサになる草を切りに出かけたのです。
「ああーっ、眠いけんど、草を刈らんと大根が煮えんでのう」
 やっと草がカゴいっぱいになった兄は、急いで家に向かいました。
 家の戸口まで来ると、大根を煮込んだ良いにおいが、ぷーんとただよってきます。
 兄は草カゴを放り出すと、うまそうに煮えた大根を口に放り込みました。
 そのおいしさといったら、涙が出てくるほどです。
「うまか! 働いた後の大根汁は、格別じゃ!」
 その後、おいしい桜島大根汁を食べる為に、兄は村一番の働き者になったという事です。

おしまい

 

ふりがな

 

聴: 

 

桜島大根汁

 

桜島大根汁

むかしむかし、二に人にんの仲なかの良よい兄弟きょうだいが、それぞれに家いえを持もって住すんでいました。

 弟おとうとは真面目まじめな働はたらき者もので、その日ひも朝あさ早はやくに起おきて、おいしい桜島さくらじま大根だいこんを煮にていました。
 するとその
匂においに釣つられて怠なまけ者ものの兄あにがやって来きたので、弟おとうとは煮にえたばかりの桜島さくらじま大根だいこんを兄あにに食たべさせてやったのです。
 すると
兄あには、
「ほう。ふとか
大根だいこんだな。・・・もぐもぐ。うまか! こら、うまか大根だいこんじゃ。どうやって作つくった?」
と、
尋たずねるので、弟おとうとは笑わらいながら答こたえました。
「
簡単かんたんじゃ。このなべは大根だいこんを入いれておくだけで、こげにうまく煮にえるんじゃよ」
「ほうー、それは
簡単かんたんじゃ」 
 
兄あにはなべを弟おとうとから借かりて帰かえると、さっそく桜島さくらじま大根だいこんを放ほうり込こみました。
「
火ひをたかんでも、ええちゅうことじゃし、一いち寝入ねいりするか」
 さて、しばらくして
起おきた兄あには、桜島さくらじま大根だいこんの様子ようすを見みてびっくり。
「
何なにじゃ。全然ぜんぜん煮にえとらんとぞ、プカプカ浮ういとるだけだ」
 
兄あには頭あたまをかしげながら、弟おとうとの家いえに桜島さくらじま大根だいこんの煮に方かたを教おしえてもらいに行いきました。
「
兄にいさん、いくらよかなべでも、大根だいこんを切きって入いれるだけじゃ、煮にえんよ」
 
弟おとうとはそう言いって、桜島さくらじま大根だいこんの煮に方かたを丁寧ていねいに教おしえてやりました。
「まずは
朝あさ早はやうに起おきて、なべにたっぷりの水みずと大根だいこんを入いれて、木きの枝えだをくべるんだ。そいで、川かわの土手どてに行いって牛うしのエサになる草くさをカゴいっぱいに切きって帰かえってくる。すると、うまか大根だいこんが煮にえとるだ」
 さあ、それを
聞きいた兄あにはうまい桜島さくらじま大根だいこんを食たべたい一心いっしんで、翌朝よくあさ早はやくに起おきてなべにたっぷりの水みずと桜島さくらじま大根だいこんを入いれると、木きの枝えだに火ひをつけてぐつぐつと煮に始はじめました。
 そして
眠ねむい目めをこすりながら、牛うしのエサになる草くさを切きりに出でかけたのです。
「ああーっ、
眠ねむいけんど、草くさを刈からんと大根だいこんが煮にえんでのう」
 やっと
草くさがカゴいっぱいになった兄あには、急いそいで家いえに向むかいました。
 
家いえの戸口とぐちまで来くると、大根だいこんを煮込にこんだ良よいにおいが、ぷーんとただよってきます。
 
兄あには草くさカゴを放ほうり出だすと、うまそうに煮にえた大根だいこんを口くちに放ほうり込こみました。
 そのおいしさといったら、
涙なみだが出でてくるほどです。
「うまか! 
働はたらいた後のちの大根だいこん汁じるは、格別かくべつじゃ!」


 その後ご、おいしい桜島さくらじま大根だいこん汁じるを食たべる為ために、兄あには村むら一番いちばんの働はたらき者ものになったという事ことです。

 

 

おしまい

 

 

 

NHẬN XÉT

 
 

 
 
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